「今日は家で何して遊ぼう?」
毎日のことなので、意外と困りますよね。
知育というと、
「知育玩具を買わないといけない」
「特別な教材を用意した方がいいのかな」
と思う方もいるかもしれません。
でも私は、子どもの学びにつながるものは、家の中にもたくさんあると思っています。
紙。
新聞紙。
洗濯ばさみ。
空き箱。
あるいは、
「これ何に見える?」
「どっちが大きいと思う?」
という親子の会話。
身近なものでも、遊び方や大人の関わり方によって、子どもが考えたり、試したり、言葉を使ったりする機会になります。
今回は、特別な教材がなくても家庭でできる知育遊びを、
ことば・数と形・考える力・手指・想像力と好奇心
の5つに分けて20個紹介します。
幼児にとって「遊ぶこと」は「学ぶこと」
「遊んでばかりでいいのかな?」
と思うこともあるかもしれません。
でも幼児期において、遊びと学びは切り離されたものではありません。
文部科学省の幼稚園教育要領では、幼児の自発的な遊びを、心身の発達の基礎を培う重要な学習と位置づけています。
子どもは遊びながら、
「どうしたらできる?」
と考える。
やってみる。
失敗する。
違う方法を試してみる。
友達や大人がいれば、相手の反応を見ながらやり方を変える。
こうした経験を繰り返しています。
アメリカ小児科学会(AAP)も、発達に合った遊びは、認知・言語・社会情緒・自己調整などの力を使う機会となり、実行機能の発達を支えるとしています。
だから私は、
「知育の時間」と「遊びの時間」を、きっちり分けなくてもいい
と思っています。
楽しく遊んでいる。
その中で、結果としていろいろな力を使っている。
幼児期には、そんな学び方も大切にしたいと思います。
考える → やってみる → 失敗する → 工夫する → もう一度やってみる
遊びの中には、このサイクルがたくさんあります。

遊ぶ前に|年齢はあくまで目安です
これから、それぞれの遊びに「年齢の目安」をつけています。
ただし、
「3歳になったらこれができなければいけない」
という意味ではありません。
幼児期は、興味も発達のペースも一人ひとり違います。
同じ3歳でも、しりとりが大好きな子もいれば、まだあまり興味を示さない子もいます。
逆に、2歳でも数字に夢中な子もいます。
そのため年齢は、
「このくらいから楽しめる子が増えてくるかな」
くらいの参考にしてください。
できる・できないよりも、
「この子、これ好きそうだな」
を基準に選んでもらえたらと思います。
① ことばを育てる遊び
1.「これなーんだ?」連想ゲーム
年齢の目安:3〜6歳ごろ
育つ力:語彙・説明する力・特徴を捉える力
「赤くて、丸くて、食べられるものなーんだ?」
「りんご!」
というシンプルな遊びです。
最初は大人が問題を出します。
慣れてきたら、今度は子どもに問題を作ってもらいましょう。
ここで面白いのが、
「なんでそう思ったの?」
まで聞いてみること。
答えを当てるだけではなく、
「赤いって言ったから」
「丸いから!」
と、自分がどう考えたのかを言葉にする機会になります。
2.しりとり
年齢の目安:3〜6歳ごろ
育つ力:語彙・言葉の音への意識・思い出す力
定番ですが、とても使いやすい言葉遊びです。
普通のしりとりに慣れてきたら、
「食べ物だけ」
「動物だけ」
「家の中にあるものだけ」
など、ルールを追加しても面白い。
車の中やお風呂でもできるので、わざわざ「知育の時間」を作る必要もありません。
3.絵本の「このあとどうなる?」遊び
年齢の目安:3〜6歳ごろ
育つ力:想像力・推測する力・自分の考えを言葉にする力
絵本を読んでいる途中で少し止めて、
「このあと、どうなると思う?」
と聞いてみます。
大切なのは、正解を当てることではありません。
「こうなると思う!」
「なんで?」
「だって、この子怒ってるから!」
そんな会話ができれば十分です。
ただし、毎ページ質問すると読み聞かせ自体を楽しめなくなります。
たまに聞くくらいがおすすめです。
4.今日の「一番○○だったこと」
年齢の目安:3〜6歳ごろ
育つ力:記憶・出来事を整理する力・表現する力
寝る前やお風呂で、
「今日、一番楽しかったことは?」
「今日、一番びっくりしたことは?」
と聞いてみます。
ポイントは、親も答えること。
「お父さんは、一緒にアイス食べたのが一番楽しかったな」
と話せば、質問ではなく親子の会話になります。
② 数・形に親しむ遊び
5.おやつを分けよう
年齢の目安:2〜6歳ごろ
育つ力:数の感覚・対応・分ける感覚
例えばクッキーが6枚。
「3人で同じ数にするには、どうしたらいいかな?」
と聞いてみます。
わざわざ算数教材を用意しなくても、
おやつ。
お皿。
果物。
箸。
日常生活には、数に触れる場面がたくさんあります。
6.家の中で「○○を5個探せ!」
年齢の目安:2〜6歳ごろ
育つ力:形の認識・分類・観察力
「丸いものを5個探そう!」
「四角いものはあるかな?」
と、家の中を探します。
子どもが大人の想定外のものを持ってきたらチャンス。
「違うよ」
ではなく、
「なるほど!ここが丸いと思ったんだね」
と理由を聞いてみると面白いです。
7.大きい順に並べよう
年齢の目安:2〜5歳ごろ
育つ力:比較・順序・量の感覚
スプーン。
靴。
本。
積み木。
ぬいぐるみ。
家にあるものをいくつか集め、
「大きい順に並べてみよう」
とやってみます。
慣れてきたら、
「長い順」
「重そうな順」
などに変えてもOK。
8.数字探し
年齢の目安:2〜6歳ごろ
育つ力:数字への興味・数字と生活を結びつける力
散歩中や買い物中に、
「3を探してみよう!」
と数字を探します。
看板。
値札。
車のナンバー。
時計。
エレベーター。
数字は街の中にあふれています。
紙の上だけではなく、
「数字っていろんなところで使われているんだ」
と気づくきっかけにもなります。
③ 考える力を育てる遊び
9.仲間分けゲーム
年齢の目安:2〜6歳ごろ
育つ力:分類・共通点を見つける力・自分なりの基準を作る力
おもちゃやカードをいくつか並べ、
「仲間に分けてみよう」
とだけ伝えます。
ここでポイントなのは、大人が最初から分類方法を決めないこと。
色で分けてもいい。
形でもいい。
動物と乗り物でもいい。
「飛ぶもの」「飛ばないもの」でもいい。
大人とは違う分け方をしたら、
「どうしてこの仲間にしたの?」
と聞いてみましょう。
子どもなりの面白い基準が出てくるかもしれません。
10.「どうしたら取れる?」ゲーム
年齢の目安:2〜4歳ごろ
育つ力:問題解決・試行錯誤
安全を十分に確保したうえで、少し工夫しないと取れない場所におもちゃを置いてみます。
そして、
「どうしたら取れるかな?」
と聞いてみます。
すぐ大人が取ってあげるのではなく、少し待つ。
手を伸ばす。
道具を使う。
場所を移動する。
子ども自身がいろいろ試せる時間を作ります。
※転倒や誤飲などの危険がない環境で行ってください。
11.間違い探しを自分で作る
年齢の目安:4〜6歳ごろ
育つ力:観察・記憶・相手の視点で考える力
間違い探しは「解く」だけではありません。
子どもに、
「今度は問題を作ってみて!」
とお願いしてみます。
積み木を5個並べて、一つだけ位置を変える。
ぬいぐるみの向きを変える。
一つだけ隠す。
「相手に気づかれないように変えるにはどうしよう?」
と考えることで、遊び方が一段広がります。
12.「もし○○だったら?」
年齢の目安:3〜6歳ごろ
育つ力:想像力・仮定して考える力・言語化
「もし空を飛べたら何したい?」
「もし恐竜が家に来たら?」
「もし水が全部ジュースだったら?」
答えは何でもOK。
大人も、
「お父さんだったら……」
と一緒に考えてみてください。
正解のない問いだからこそ、自由に考えられます。
④ 手指を使う遊び
手指を使うことも、幼児期の大切な経験
幼児期には、
つまむ。
はさむ。
貼る。
描く。
ちぎる。
持ち替える。
といった、細かな手指の動きをたくさん経験します。
こうした能力は、**微細運動能力(fine motor skills)**と呼ばれます。
微細運動能力と認知・学習能力との関連を調べた研究もあります。
例えば、幼稚園児173人を追跡した研究では、幼稚園時点の微細運動能力は、その後の小学校での算数能力を予測していました。
ただし、実行機能を加えて分析すると、微細運動能力単独の予測力は確認されなくなりました。
つまり、
「指先を使う遊びをすれば頭が良くなる」
と単純に言える研究ではありません。
一方で、幼児期に手や指を思い通りに動かす経験を積むこと自体には意味があります。
特別な教材を用意しなくても、
洗濯ばさみ。
シール。
トング。
紙。
身近なものを使って、楽しみながら手指を使う機会を作ることができます。
13.洗濯ばさみ遊び
年齢の目安:2〜5歳ごろ
育つ力:指先の操作・目と手を連動させる力
紙皿や箱の縁に洗濯ばさみをつけていきます。
色のついた洗濯ばさみなら、
「赤だけつけてみよう」
「赤・青・赤・青にしてみよう」
など、遊びを広げても面白いです。
※指を挟みにくいものを選び、必ず大人がそばで見守ってください。
14.新聞紙チャレンジ
年齢の目安:2〜6歳ごろ
育つ力:手指・力加減・創造力
新聞紙や不要な紙を、
破る。
丸める。
細長くする。
ボールにする。
つなげる。
それだけでも遊べます。
「何を作るか」を最初から決めず、
「これで何作れるかな?」
から始めてもいいと思います。
15.トング・お箸で移動ゲーム
年齢の目安:2〜6歳ごろ
育つ力:手指の操作・集中・目と手の協応
スポンジや大きめの安全なものを、
Aのお皿 → Bのお皿
へ移します。
最初はトング。
慣れてきたら箸。
というように、その子に合わせて難易度を変えられます。
小さなものを使う場合は、誤飲に十分注意してください。
16.シールで自由制作
年齢の目安:2〜6歳ごろ
育つ力:微細運動・構成力・創造性
シール遊びというと、
「丸の中に貼ろう」
などの課題を想像するかもしれません。
もちろん、それも楽しい遊びです。
でも、ときどき白い紙とシールだけ渡して、
「好きなもの作っていいよ」
もやってみてください。
何をどこに貼るか。
何に見立てるか。
子ども自身が決められます。
⑤ 想像力・好奇心を育てる遊び
17.空き箱工作
年齢の目安:3〜6歳ごろ
育つ力:創造力・設計する力・試行錯誤
ティッシュ箱。
お菓子の箱。
トイレットペーパーの芯。
捨てる前に、
「これで何か作る?」
と聞いてみます。
ここでも、できれば完成形を最初から見せすぎない。
車でもいい。
家でもいい。
謎の物体でもいい。
作りながら、
「ここにつけたいけど、つかない!」
となったら、それも学びです。
「どうしたらつくかな?」
と一緒に考えてみましょう。
18.お店屋さんごっこ
年齢の目安:3〜6歳ごろ
育つ力:ことば・数・社会性・想像力
お店屋さんごっこは、実はかなり総合的な遊びです。
商品を並べる。
値札を作る。
「いらっしゃいませ」と話す。
お金を数える。
店員とお客さんになる。
一つの遊びの中に、
ことば・数・想像・人とのやり取り
が自然に入ります。
AAPも、ごっこ遊びや他者との遊びを、言語や社会情緒、自己調整などさまざまな力を使う機会として紹介しています。
慣れてきたら、
「今日はパン屋さん」
「明日は水族館のお土産屋さん」
など、子どもの興味に合わせて変えてみても面白いです。
19.「なんでだろう?」観察
年齢の目安:3〜6歳ごろ
育つ力:好奇心・予測・観察・因果関係を考える力
氷をお皿に置く。
影を見る。
葉っぱを水に浮かべる。
色水を混ぜる。
まず、
「どうなると思う?」
と予想してみます。
そのあと実際に観察する。
「当たった!」
でも、
「思ってたのと違った!」
でもOK。
むしろ予想と違ったときこそ、
「なんでだろう?」
が生まれます。
20.親子で「調べてみよう」
年齢の目安:3〜6歳ごろ
育つ力:調べる習慣・好奇心・自分で答えに近づく力
子どもから、
「なんで?」
と聞かれたらチャンスです。
大人がすべての答えを知っている必要はありません。
むしろ、
「面白いね。なんでだろう?一緒に調べてみよう」
でいい。
図鑑を開く。
本を見る。
実際に観察する。
虫なら外へ探しに行く。
魚に興味を持ったなら、水族館へ行ってみる。
子どもの興味から、次の経験につなげていきます。
私は、
「知らない → 教えてもらう」だけではなく、 「知らない → 自分で確かめてみる」へ。
という経験をたくさん作ってあげたいと思っています。
20個全部やる必要はありません
ここまで20個紹介しました。
でも、
全部やる必要はありません。
「今日は知育遊びをしなきゃ!」
「昨日はできなかったから今日はこれ!」
となった瞬間、親も子どももしんどくなります。
子どもがハマった遊びがあれば、何度でもやればいい。
同じ遊びを1週間続けてもいい。
そして、大人が思っていた遊び方と違ってもいい。
文部科学省も、幼児の主体的な活動や、一人ひとりの興味・関心に応じた環境を重視しています。
大人が、
「こうやって遊ぶんだよ」
と正解をすべて教えるより、
「この子は今、何をしようとしているんだろう?」
と少し見てみる。
以前にも紹介しましたが、子どもの試行錯誤を大人が奪わないことは、とても大切だと思っています。

親も一緒に楽しんでほしい
そして、もう一つ大切にしてほしいことがあります。
親が先生になりすぎないこと。
知育遊びになると、
「これは何色?」
「何個ある?」
「これは何?」
と、ついつい問題を出したくなります。
もちろん、それが楽しいときはいいと思います。
でも毎回テストのようになってしまったら、せっかくの遊びが「答える時間」になってしまいます。
それより、
「それ面白そう!」
「お母さんもやっていい?」
「え!どうやったの?」
「お父さんはこっち作ってみようかな」
と、一緒に遊ぶ。
AAPも、親や仲間との発達に合った遊びが、子どものさまざまな力を使う機会になることを示しています。
親が楽しそうに遊んでいること自体が、
「これ面白いんだ」
と子どもの興味を引き出すこともあります。
だから、
「何かを教えなきゃ」ではなく、「一緒に面白がる」。
そのくらいの気持ちで十分だと思います。

まとめ|最高の知育材料は、家の中にもたくさんある
知育というと、
高価な教材。
知育玩具。
幼児教室。
そんなものを想像しがちです。
もちろん、それらを上手に使うのも良いと思います。
でも、
洗濯ばさみ。
新聞紙。
空き箱。
絵本。
スーパーの値札。
おやつ。
そして、親子の会話。
子どもにとっては、身の回りのものも学びの材料になります。

大切なのは、
何で遊ばせるか以上に、子どもが「やってみたい」と思える余白を作ること。
考える。
やってみる。
うまくいかない。
工夫する。
もう一度やってみる。
そんな経験を、遊びの中でたくさんしてほしいと思います。
そして大人も、
「ちゃんと知育しなきゃ」
と頑張りすぎなくて大丈夫です。
まずは今日、家にあるものを一つ使って、
「これで何して遊ぶ?」
と聞いてみる。
そこから、思いがけない遊びが始まるかもしれません。
参考資料
本記事の作成にあたり、以下の公的資料・研究論文を参考にしました。
- 文部科学省「幼稚園教育要領」
幼児期の教育では、幼児の自発的な活動としての「遊び」が重要な学習であることや、幼児一人ひとりの主体的な活動を促すことの重要性が示されています。
文部科学省「幼稚園教育要領」 - Yogman M, et al. “The Power of Play: A Pediatric Role in Enhancing Development in Young Children.” Pediatrics. 2018.
アメリカ小児科学会(AAP)による臨床報告です。遊びが、認知・言語・社会情緒・自己調整など、子どもの幅広い発達を支えることについてまとめられています。
American Academy of Pediatrics「The Power of Play」 - Oberer N, et al. “The role of fine motor skills and executive functions in predicting the development of mathematics in kindergarten and primary school.”
幼稚園児を追跡し、微細運動能力(fine motor skills)や実行機能と、その後の算数能力との関係を検討した研究です。本記事の「手指を使う遊び」の項目で参考にしています。
PubMed掲載ページ
※本記事では、研究結果をもとにしつつも、「特定の遊びをすれば知能が上がる」「手指を使えば頭が良くなる」といった単純な因果関係を示すものではありません。子どもの発達や興味には個人差があります。

