伸びる子の家庭に共通していた5つのこと|多くの親子を見て感じた「学びが続く家庭」の特徴

「どうしたら、伸びる子になりますか?」

子どもの教育に関わっていると、保護者からこうした相談を受けることがあります。

何を習わせればいいのか。

どんな教材を使えばいいのか。

何歳から勉強を始めればいいのか。

もちろん、それらも大切な選択肢です。

でも、これまで多くの子どもや保護者と関わってきた中で、私はそれよりも前に大切にしたいことがあると感じてきました。

それは、

「この子は今、どの方向に伸びたがっているんだろう?」

と見ることです。

長く伸び続ける子の家庭を振り返ると、親が一方的に「伸ばそう」としているというより、子どもの興味をよく見て、その少し先に新しい学びを用意することが上手な家庭が多かったように思います。

この記事では、私が教育の現場で感じてきた「伸びる子の家庭に見られた5つの特徴」を紹介します。

ただし、最初に一つだけ。

ここで紹介する5つは、

「これをすれば必ず子どもの学力が上がる」

という方法ではありません。

あくまで、私が多くの親子と関わる中で繰り返し目にしてきた傾向です。

目次

伸びる子に共通していたのは「好奇心」だった

これまで出会ってきた子どもたちを振り返ってみると、よく伸びていった子の多くは、本が好きでした。

そして、とにかく好奇心が旺盛でした。

図鑑をずっと眺めている。

パズルに夢中になる。

生き物の名前をどんどん覚える。

電車の種類を驚くほど知っている。

そして、

「これ何?」

「なんで?」

が止まらない。

特に私の経験では、図鑑やパズルに夢中になる子には、その後高い力を身につけていく子が多かったという印象があります。

ただ、これは、

「賢い子にするために図鑑とパズルを買いましょう」

という話ではありません。

大切なのは、図鑑やパズルそのものではなく、

何かに夢中になり、「もっと知りたい」と自分から世界に手を伸ばしていること。

だと思うのです。

では、そんな子どもの好奇心を、家庭ではどのように支えていたのでしょうか。

私が特に共通していると感じたことは、次の5つです。

伸びる子の家庭に共通していた5つのこと

① 子どもの「伸びたがっている方向」をよく見ている

「どうしたら伸びる子になりますか?」

もし私がそう聞かれたら、まずこう答えます。

「この子が今、どの方向に伸びたがっているのかを見てあげてください」

恐竜が好きなら、恐竜図鑑を一緒に見る。

そこから化石に興味を持ったら、博物館へ行ってみる。

「恐竜がいた頃って人間もいたの?」

と聞かれたら、今度は地球や歴史の本を探してみる。

魚が好きなら、

絵本から図鑑へ。

図鑑から水族館へ。

水族館から海へ。

そして、

「どうしてこの魚はこんな形なんだろう?」

と、また図鑑へ戻ってくるかもしれません。

電車が好きなら、

電車から路線図へ。

路線図から地名へ。

地名から日本地図へ。

興味の入口は何でもいいのです。

大切なのは、親がその興味に気づいて、その少し先に「次に出会えるもの」を用意してあげること。

私はこれが、家庭でできるとても大切な教育の一つだと考えています。

【親の関わり:知る・広げる】

子どもが何に夢中になっているのかを知る。
そして、興味の少し先にある本・場所・体験へ広げていく。
「何を学ばせるか」より、「何を知りたがっているか」から始めてみる。

② 読み聞かせと読書が、家庭の中にある

特に、0〜3歳頃からたくさん絵本に触れていたという話は何度も聞いてきました。

もちろん、

「0〜3歳にたくさん読み聞かせれば、学力の高い子になる」

と単純に言えるわけではありません。

一方で、読み聞かせと言語発達については多くの研究があります。

19件のランダム化比較試験、合計2,594人の子どもを対象にしたメタ分析では、保護者への絵本共有介入が、子どもの表出言語・受容言語に小さいながらプラスの効果を示しました。(PubMed)

また、共有読書と子どもの言語能力を扱った別のメタ分析でも、効果の大きさには研究条件による違いがあるものの、読み聞かせと言語発達の関係が検討されています。(サイエンスダイレクト)

私は、読解力をその後の学びを支える基礎の一つとして、とても大切に考えています。

国語の文章を読む。

算数の文章題を理解する。

理科の説明を読む。

社会の資料を読み取る。

そして、自分が知りたいことを本や文章から調べる。

学びが進むほど、「書いてあることを理解する力」が必要になります。

だからこそ私は、幼い時期から親子でたくさんのことばや物語に触れる時間を大切にしてほしいと思っています。

③ 子どもの好奇心を「本物の体験」につなげている

伸びていった子の家庭を振り返ったとき、もう一つ印象的だったのが、体験の多さです。

水族館へ行く。

博物館へ行く。

科学館へ行く。

海へ行く。

旅行をする。

乗馬をする。

スキーやスケートを経験する。

もちろん、

「旅行にたくさん行けば学力が上がる」

という話ではありません。

私が大切だと感じているのは、子どもの中にある興味と、実際の体験がつながることです。

たとえば、

図鑑で魚を見る。

水族館で本物の魚を見る。

「なんでこの魚はこんな形なの?」

という疑問が生まれる。

家に帰って、もう一度図鑑を開く。

すると、最初に見たときには気づかなかったことが見えてくるかもしれません。

私は、この

「知る → 体験する → 疑問が生まれる → また調べる」

という循環が、子どもの好奇心をさらに広げていくのではないかと考えています。

そして、これは決して高価な旅行や特別な習い事である必要はありません。

公園で虫を探す。

海で貝殻を拾う。

図書館で気になる本を探す。

駅へ電車を見に行く。

夜に月を見る。

料理を一緒にする。

それも全部、本物の世界に触れる体験です。

大切なのは、

「たくさん経験させなきゃ」と親が予定を詰め込むことではなく、子どもの興味と現実の世界をつないであげること。

だと思います。

④「分からない」をすぐに奪わない

子どもが難しそうにしていると、親としては助けたくなります。

「これはこうするんだよ」

と教えて、早く理解させてあげたい。

その気持ちは、とても自然なものです。

でも私は、子どもが困った瞬間に大人が答えを与え続けることで、結果として自分で考えることが難しくなっていった子も見てきました。

最初は少し助けてもらうだけだったのが、

「分からない」

親が教える

また分からない

親を見る

という経験を繰り返す。

そして、やがて、

「どうせ僕はできないから、ママがやって」

と言うようになった子もいました。

ここで大切にしたいのが、

「分からない」は悪い状態ではない

ということです。

「分からない」は、

「なんでだろう?」が始まる瞬間

でもあります。

親が子どもの自律性を支える関わりについて36研究をまとめたメタ分析では、そうした親の関わりは、学業成績だけでなく、自律的な動機づけ、自己効力感、学習への参加、学校への肯定的態度などと関連していました。(ERIC)

もちろん、

「絶対に教えてはいけない」

という意味ではありません。

困っていたらヒントを出していい。

一緒に考えてもいい。

大切なのは、

答えを教える前に、子ども自身が考えられる余白を少し残すこと。

私はその「待つ時間」が、子どもの

「自分でできた」

をつくるために大切だと考えています。

【親の関わり:待つ】

すぐに「分からせる」ことを目指さない。

子ども自身が、

考える → 試す → 間違える → また考える

時間を残してあげる。

⑤ 子どもより先に、親が飽きない

これは、私が長く親子を見てきて、特に感じてきたことです。

「子どもが飽きてしまって……」

という相談を受けることがあります。

もちろん、本当に子どもの興味が変わることもあります。

でも話を聞いていると、

実は先に飽きているのは大人なのではないか

と感じることもありました。

学習を始めた頃は、

「今日もできたね!」

「昨日より上手になったね!」

と、小さな変化を一緒に喜んでいた。

でも数か月、1年と続いていくと、

「まだこれやってるの?」

「何点だった?」

「どこまで進んだ?」

と、少しずつ見る場所が変わっていく。

最初は過程を見ていたのに、いつの間にか結果ばかりを見るようになる。

すると、親自身も学習を楽しめなくなってきます。

私はここに、家庭学習を長く続けるうえでの一つの難しさがあると思っています。

子どもの成長は、毎日見ていると分かりにくいものです。

昨日と今日では、ほとんど変わっていないように見える。

でも、

半年前。

1年前。

3年前。

と比べてみると、驚くほど変わっている。

だから、

読み聞かせでもいい。

数分の家庭学習でもいい。

一緒に図鑑を見る時間でもいい。

毎日少しでも続けられるものをつくる。

そして何より、

成果がすぐに見えない時期に、親が先に飽きない。

これは、私がとても大切にしたいことです。

【親の関わり:続ける】

完璧にやり続けることではありません。

できない日があったら、また始めればいい。

結果を急がず、子どもの小さな変化を見ながら長く付き合っていく。

伸びる家庭には「ルーティン」があった

もう一つ、現場で感じてきたことがあります。

それは、

生活や学習にルーティンがある子は強い

ということです。

読み聞かせ。

家庭学習。

ご飯。

おやつ。

お風呂。

寝る時間。

すべてを分刻みで管理する必要はありません。

でも、

「この時間になったらこれをする」

という一定のリズムがある子は、学習についても比較的安定して取り組める印象があります。

毎日、

「今日は勉強する?」

「やりたくない!」

という交渉から始めるのではなく、

生活の中に自然に組み込まれている。

私は、これが継続の強さにつながっていると感じています。

一方で、私自身は、ルーティンがある子には情緒面でも安定している印象を持ってきましたが、家庭ルーティンと情緒の関係には生活環境などさまざまな要因が関わります。

そのため、ここでは、

「ルーティンを作れば情緒が安定する」

とまでは言い切りません。

大切にしたいのは、

親子が無理なく続けられる「いつもの形」をつくること。

です。

共通していたのは「教育熱心」より「好奇心熱心」

ここまで書いてきて、私が見てきた家庭を一言で表すなら、

「教育熱心」というより、「好奇心熱心」

だったように思います。

「何を勉強させよう?」

より、

「この子、今何に夢中なんだろう?」

をよく見ている。

子どもが魚に夢中になれば、図鑑を用意する。

もっと興味を持ったら、水族館へ行く。

「なんで?」が出てきたら、一緒に調べる。

難しいことにぶつかったら、すぐに答えを言わず少し待つ。

そして、興味が続いている間は、親も一緒に付き合う。

こんなイメージです。

親が先生になって、たくさんのことを教え込む。

というより、

子どもが自分で学びたくなる環境をつくる。

私が見てきた「伸びる家庭」に共通していたのは、そんな関わり方でした。

まとめ|子どもを「伸ばす」より、伸びたがっている方向を見る

「どうしたら伸びる子になりますか?」

今、改めて聞かれたとしても、私の答えは同じです。

まず、

この子がどの方向に伸びたがっているのかを、よく見てあげてください。

生き物なのか。

数字なのか。

ことばなのか。

音楽なのか。

乗り物なのか。

体を動かすことなのか。

そして、その方向に新しい学びを一つ用意してあげる。

図鑑でもいい。

本でもいい。

博物館でもいい。

公園でもいい。

そして、毎日続けられる何かを一緒につくってあげる。

難しいことに出会ったら、すぐに答えを教えず、自分で考える時間を少し待つ。

私は、

親が子どもを思い通りの方向へ「伸ばす」のではなく、その子が伸びたがっている方向へ進める環境を用意すること

が大切だと考えています。

そして、その土台の一つとして、私は読み聞かせも大切にしたいと思っています。

ことばを知る。

文字に興味を持つ。

自分で本を読めるようになる。

すると、いつか、

自分の「知りたい」を、自分で調べられるようになる。

図鑑を開く。

本を読む。

誰かに聞く。

自分で調べる。

また新しい疑問が生まれる。

いつか親の手を離れて、

自分で「知りたい」の続きを探しにいける。

そこまでつながれば、学びはもう、親から与えられるものだけではありません。

子ども自身のものになっていきます。

子どもを「伸ばす」より、伸びたがっている方向を見る。

子どもの興味を知る。

その少し先に、新しい世界を用意する。

すぐに答えを教えず、考える時間を待つ。

そして、親も一緒に長く続ける。

「何をさせれば伸びる?」ではなく、「この子は何を知りたがっている?」から始めてみる。

参考文献

・Dowdall, N., Melendez-Torres, G. J., Murray, L., Gardner, F., Hartford, L., & Cooper, P. J.(2020)“Shared Picture Book Reading Interventions for Child Language Development: A Systematic Review and Meta-Analysis.” Child Development, 91(2), e383–e399.

・Noble, C., Sala, G., Peter, M., Lingwood, J., Rowland, C. F., Gobet, F., & Pine, J. M.(2019)“The impact of shared book reading on children’s language skills: A meta-analysis.” Educational Research Review, 28, 100290.

・Vasquez, A. C., Patall, E. A., Fong, C. J., Corrigan, A. S., & Pine, L.(2016)“Parent Autonomy Support, Academic Achievement, and Psychosocial Functioning: a Meta-analysis of Research.” Educational Psychology Review, 28, 605–644.

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