読み聞かせは何歳まで?「自分で読めるようになったら終わり」ではない理由

「読み聞かせって、何歳まで続けたらいいんだろう」

子どもが大きくなり、自分で文字を読めるようになってくると、こんな疑問が出てくるかもしれません。

「もうひらがなが読めるし、そろそろ卒業?」

「小学生になってまで読んであげる必要はある?」

でも、

「自分で文字を読めること」と「物語を十分に理解し、楽しめること」は、必ずしも同じではありません。

読み聞かせを「まだ文字が読めない子のためのもの」と考えれば、自分で読めるようになったときが卒業に見えます。

でも、読み聞かせにはそれだけではない役割があります。

自分ではまだ読めない物語に出会う。

知らなかったことばを知る。

登場人物の気持ちについて親子で話す。

そして何より、

「本って、おもしろい」

という経験を積み重ねる。

私は、読み聞かせに「○歳で卒業」という期限を設ける必要はないと考えています。

この記事で一番伝えたいこと

読み聞かせに「○歳まで」という明確な期限はありません。

「自分で読めるようになった=読み聞かせ卒業」ではありません。

子どもが望み、親子で楽しめているなら、続けていい。

そして自分で読めるようになってからは、読み聞かせだからこそ出会える「少し先のことばや物語」もあります。

目次

読み聞かせは何歳まで?「○歳まで」という期限はない

結論から言えば、

読み聞かせに、全員共通の卒業年齢はありません。

文部科学省が行った「親と子の読書活動等に関する調査」では、家庭で読み聞かせをしていた期間について、「6歳になるまで」が25.3%、「小学校低学年まで」が22.0%となっており、その後まで続けている家庭も確認されています。

つまり、

「小学生になったから終わり」

「自分で読めるから終わり」

と、一律に区切る必要はありません。

むしろ見てほしいのは、

「今、この子は読んでもらうことを楽しんでいる?」

ということ。

「もう一回読んで」

「今日はこれ読んで」

と本を持ってくるなら、年齢を理由にやめなくてもいい。

子どもが望む限り、読み聞かせを続ける。

私は、それくらいシンプルに考えてもいいと思います。

親の関わり:知る

「何歳だから」ではなく、

今、その子がどんな本や物語を楽しんでいるのかを見る。

子どもの「読んでほしい」は、読み聞かせを続ける一つのサインです。

なぜ「自分で読める=読み聞かせ卒業」ではないの?

ここが、とても大切なポイントです。

子どもが自分で本を読めるようになる。

これは大きな成長です。

でも、

自分で読める文章のレベルと、聞いて理解できる物語のレベルは、必ずしも同じではありません。

①「文字を読むこと」と「物語を理解すること」は同じではない

たとえば、ひらがなを読み始めたばかりの子が、

「む・か・し、む・か・し……」

と、一文字ずつ追っている場面を想像してみてください。

子どもの頭の中では、

文字を見る。

音に変える。

ことばとしてまとめる。

意味を考える。

という複数のことが行われています。

そのため、まだ読みが十分に自動化されていない時期には、文字を読むことそのものに多くの注意を使うことがあります。

一方、大人に読んでもらえば、自分で文字を一つずつ処理する必要はありません。

その分、

「このあとどうなるんだろう」

「この子、悲しかったのかな」

と、物語そのものに意識を向けやすくなります。

読む力と文章理解には、文字を音に変える力だけでなく、語彙や言語を理解する力など複数の要素が関わります。

だから、

「文字が読めるようになったから、もう読んであげる必要はない」

とは限らないのです。

② 読み聞かせは「親子で物語を共有する時間」でもある

読み聞かせは、文章を最初から最後まで正確に読み上げるだけの時間ではありません。

たとえば、途中で子どもが、

「この子、なんで怒ってるの?」

と聞いたとします。

そこで、

「なんでだと思う?」

と話してみる。

あるいは、

「この前、こんな気持ちになったね」

と、自分の経験につながることもあります。

登場人物になりきって読んだり、一緒に笑ったり、続きを予想したりすることもあるでしょう。

こうしたやり取りも含めて、読み聞かせです。

共有読書についての研究でも、読み聞かせは言語・認知面だけでなく、親子の相互作用や社会情緒的な側面とも関わる活動として研究されています。

だから、

「最後までちゃんと読まなきゃ」

と思いすぎなくても大丈夫。

一冊の本から親子の会話が広がることも、大切な読書体験です。

親の関わり:広げる

本に書いてあることだけで終わらせなくてもいい。

「どう思った?」

「これ見たことあるね」

と、物語から子どもの経験や新しい興味へ広げていく。

本を「好き」になることは、その先の学びにもつながる

読み聞かせで大切にしたいのは、

「何冊読んだか」

「何歳まで続けたか」

だけではありません。

その先に、

「本っておもしろい」

「もっと知りたい」

「自分でも読んでみたい」

という気持ちが育っていくことです。

OECDのPISA 2018では、読書を楽しんでいる生徒ほど読解力が高いという関連が、社会経済的背景や性別を考慮した後でも、参加したすべての国・地域で確認されています。

ただし、

「読み聞かせをする → 本好きになる → 学力が上がる」

と一直線に因果関係を結ぶことはできません。

読む力があるからこそ、読書を楽しめるという方向も考えられるからです。

OECDも、読書を楽しむことと読解力との関係は一方向だけではなく、互いに影響し合う可能性を示しています。

つまり、

読むから、読めるようになる。
読めるから、もっと読みたくなる。

そんな好循環です。

読み聞かせも、その入口の一つになり得ます。

「本を読ませる」のではなく、「本っておもしろい」を育てる。

その積み重ねが、自分から本を開く習慣や、その先の学びにつながっていく可能性があります。

読み聞かせには「ことば」以外の意味もある

本を読むとき、子どもが触れているのは、文字や語彙だけではありません。

物語の中には、

うれしい。

悲しい。

悔しい。

怖い。

誰かを思いやる。

失敗する。

仲直りする。

といった、さまざまな人の姿が描かれています。

親子で同じ物語を共有すれば、

「この子、どんな気持ちかな?」

「どうしてこんなことしたんだろう?」

と話すこともできます。

共有読書に関する研究レビューでも、親子で本を読む活動は、言語・認知面だけでなく、社会情緒的な発達や親子関係などとの関連も研究されています。

ただし、

「本を読めば情緒が豊かになる」

と単純に言い切れるものではありません。

私は、物語を通して、

自分とは違う人の気持ちや、まだ経験したことのない世界について親子で考えられること

にも、読み聞かせの大きな価値があると考えています。

自分で読めるようになってからこそ、読み聞かせたい本がある

ここまで読んで、

「じゃあ、自分で本を読めるようになってからは、何を読んであげればいい?」

と思うかもしれません。

私は、

自力読みができるようになった子にこそ、「自分ではまだ少し難しい本」を読み聞かせてみる

という選択肢もおすすめしたいと思います。

自分で読む力より、少し先の「ことばの世界」へ

たとえば、小学1年生の子が、1年生向けの本なら自分で楽しめるようになってきたとします。

そんなとき、読み聞かせでは、

少し長い物語。

知らないことばが少し入っている本。

複雑な気持ちが描かれた物語。

あるいは、次の学年の教科書に採用されるような作品や、それに近い難易度の児童文学。

そんな、

「自分で読むには少し難しい。でも、聞けば楽しめる」

本を選んでみるのも一つです。

読み聞かせなら、子ども自身がすべての文字を処理しなくても、物語を楽しめます。

その中で、

まだ知らない語彙。

少し複雑な文章。

新しい表現。

これまで知らなかった世界。

に出会うことができます。

それは、語彙や言語理解を豊かにし、その後の読解を支える経験の一つになり得ます。

ただし、

「一学年上の本を読めば学力が上がる」

という単純な公式が研究で証明されているわけではありません。

大切なのは「一学年上」という数字ではなく、

その子が聞けば理解でき、楽しめる“少し先”を選ぶこと。

難しすぎて楽しめないくらいなら、戻ってレベルを下げちゃえば良いんです。

自力読みは「今の読む力」を育てる。

読み聞かせは、その少し先にある世界を見せてあげられる。

どちらか一方ではなく、両方あっていいのです。

ひらがなを読み始めるまでの「物事への興味→ことば→音→文字」という流れについては、こちらの記事で詳しく紹介しています。

読み聞かせは「終わる」のではなく、形が変わっていく

だから、

「何歳になったら読み聞かせをやめる?」

ではなく、

成長に合わせて、本との関わり方が変わっていく

と考えてみてはどうでしょうか。

小さい頃は、

読んでもらう。

少し文字が読めるようになったら、

一緒に読む。

さらに読めるようになったら、

自分でも読む。

そして大きくなれば、

同じ本について話す。

という関わり方もできます。

子どもが小学生になって、

「今日これ読んで」

と本を持ってきたら、

「もう自分で読めるでしょ」

と言わなくてもいい。

子どもが望むなら、読んであげる。

それも親子と本との付き合い方です。

読み聞かせを続けるときに大切にしたい3つのこと

最後に、読み聞かせを続けるときに大切にしたいことを3つにまとめます。

① 子どもが読みたい本を大切にする

「またこれ?」

と思うほど、同じ本を持ってくることがあります。

でも、子どもにとっては、

好きな場面。

好きなことば。

安心する展開。

があるのかもしれません。

何度目でも、

「これが好きなんだね」

と、その気持ちを大切にしてみます。

親の関わり:認める

大人が読ませたい本だけでなく、

子ども自身が「これが好き」と選んだ気持ちも認め褒める

② 最後まで読み切らなくても大丈夫

途中で、

「あ!これ知ってる!」

と別の話が始まった。

絵ばかり見ている。

途中で別の本を持ってきた。

そんな日があってもいい。

読み聞かせの目的を、

「一冊を最後まで読むこと」

にしすぎない。

子どもの興味がどこへ向かうのか、少し待ってみることも、世界を広げるひとつですね。

親の関わり:待つ

大人の予定どおりに読み進めることより、

子どもの「今ここが気になる」を待ってみる。

③「毎日○冊」にこだわりすぎない

「読み聞かせは毎日10冊」

「寝る前に必ず30分」

目標を決めることが、続けるきっかけになる家庭もあります。

でも、それが苦しくなってしまうなら、本末転倒です。

1冊の日があってもいい。

数ページだけの日があってもいい。

忙しい日は読めなくてもいい。

大切なのは、

親子にとって無理のない形で、本との時間が続いていくことです。

親の関わり:続ける

完璧に続けるのではなく、続けられる形をつくる。

読書を親子の「宿題」にしないことも大切です。

まとめ|読み聞かせは「何歳まで」より「楽しんでいるかどうか」

改めて、読み聞かせに全員共通の卒業年齢はありません。

自分で文字が読めるようになったあとも、読んでもらうからこそ楽しめる物語があります。

そして、自力読みが始まったからこそ、

自分ではまだ少し難しい「ことばの世界」を、大人が読み聞かせで見せてあげる

こともできます。

大切なのは、

「もう○歳だから」

「もう自分で読めるから」

と大人が区切ることではありません。

子どもが、

「読んで」

と言うなら、読んであげる。

そして少しずつ、

読んでもらう

一緒に読む

自分でも読む

本について話す

へ。

親子と本との関係を、成長とともに変えていけばいいのだと思います。

本の中で知らないことばに出会う。

知らない世界を知る。

登場人物の気持ちを考える。

そして、

「もっと知りたい」
「自分でも読んでみたい」

と思う。

そんな好奇心が、その先の自分で学ぶ力につながっていきます。

読み聞かせに、急いで「卒業」はいりません

子どもが望むなら、何歳でも読んであげていい。

自分で読めるようになったら、読み聞かせでは少し先の物語へ。

「本っておもしろい」から、「もっと知りたい」へ。

子どもの成長に合わせながら、本との関わりを少しずつ広げていきましょう。

文字や読書だけでなく、幼児期に大切にしたい力と親の関わりについては、こちらの記事でまとめています。

参考資料

・文部科学省「親と子の読書活動等に関する調査」
文部科学省|子どもの読書活動への支援の状況⁠

・OECD(2019)『PISA 2018 Results (Volume II): Where All Students Can Succeed』
OECD|PISA 2018 Results (Volume II)⁠

・Verhoeven, L. & van Leeuwe, J.(2008)“Prediction of the development of reading comprehension: a longitudinal study.” Applied Cognitive Psychology, 22, 407–423.
Wiley Online Library|研究論文⁠

・Nan, J. & Tian, Y.(2025)“Parent–child shared book reading challenges and facilitators: a systematic review and meta synthesis.” Frontiers in Psychology, 16, 1635956.
Frontiers in Psychology|研究論文⁠

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