「全部できたの?すごい!」
「100点!えらいね!」
子どもが頑張ったら、たくさん褒めてあげたい。
その気持ちはとても自然です。
でも私は、子どもへの声かけは「すごいね!」だけで終わらせるのは少しもったいないと思っています。
大切にしたいのは、
結果を褒めるだけでなく、その子がそこまでに何をしてきたのかを認めること。
今回は、家庭で使える「褒め方・認め方」を7つ紹介します。
「すごいね!」はやめなくていい
最初に伝えておきたいのは、
「すごいね!」がダメなわけではありません。
嬉しいときは、一緒に喜んでいい。
「やったね!」
「すごい!」
と伝えていいと思います。
ただ、そこにもう一言、
「毎朝練習してたもんね」
「前は難しかったところ、できるようになったね」
と加えてみる。
それだけで、親が結果だけでなく、そこまでの過程も見ていたことが伝わります。
幼児期の親子を追った研究でも、努力・行動・工夫などのプロセスに向けた褒め言葉の割合が、その後の子どもの「能力は変えられる」という考え方や挑戦への姿勢と関連していました。
だから目指したいのは、
「褒めない親」ではなく、「ちゃんと見て、認められる親」。
私はそう考えています。
① 「すごい!」のあとに、何が良かったかを伝える
まず一番簡単なのがこれです。
「すごいね!」+具体的な一言。
たとえば、
「全部正解!すごいね!」
で終わらず、
「全部正解!すごいね。難しかったところも自分で考えてたもんね」
と言ってみる。
「今日は早く終わったね!」
だけではなく、
「今日は早かったね。途中で遊ばず集中してたもんね」
でもいい。
教育に関わる中でも、
「全部正解!」
「早く終わった!」
と、結果だけを毎回褒めるのは少しもったいないなと感じることがあります。
結果は、その瞬間を見れば分かります。
でも、
どうやってそこまで来たのか。
ここは普段の子どもを見ていないと分かりません。
② 「頭いいね」より、努力や工夫を見つける
褒め方研究で有名なのが、MuellerとDweckによる研究です。
小学5年生を対象にした一連の実験では、課題成功後に「頭がいい」と知能を褒められた子どもは、努力を褒められた子どもに比べ、その後に失敗すると粘り強さや課題の楽しさなどが低くなり、能力不足に原因を求めやすい傾向が確認されました。
だから、
「頭いいね!」
を絶対に言ってはいけない、という話ではありません。
ただ、日常的には、
「よく考えたね」
「違うやり方も試したね」
「昨日も練習してたもんね」
のように、本人が変えたり積み重ねたりできる部分にも目を向けたい。
結果だけではなく、
「どうやってできるようになったか」
を言葉にしてあげます。

③ 「前よりできた」を見つける
私が「この親御さん、よく見ているな」と感じるのが、
その子が以前苦手だったことを覚えている親です。
たとえば、
「これ、できるようになったね!」
「前はここ難しかったよね」
という声かけ。
これは100点や順位とは少し違います。
比べているのは、
他の子ではなく、以前のその子。
特に、
「毎朝起きてから頑張ってたもんね」
と、そこまでの積み重ねまで言ってもらえたら、
子どもにとっても、
「ちゃんと見てくれていたんだ」
と感じられる言葉になると思います。
④ 結果が出なかったときこそ「ここまでは」を見る
毎回うまくいくわけではありません。
頑張ったけどテストの点が上がらなかった。
試合に負けた。
最後までできなかった。
そんなときこそ、
「ここまでは頑張ったね」
と、その子ができたところまでを見ます。
ただし、すぐ続けて、
「じゃあ次はここまで頑張ろう!」
と親が次の目標を決めてしまう必要はないと思います。
まずは、
「どうだった?」
「次はどうしたい?」
と本人の気持ちを聞く。
そして、
「次はもうちょっとやりたい」
という気持ちが出たら、
「じゃあ次はここまで目指してみる?」
と一緒に考える。
失敗した直後まで、親が先回りして「次」を決めなくていい。
前の記事で紹介した「考える余白を残す」ことは、こんな場面でも大切だと思います。

⑤ 「天才!」「最高!」を盛りすぎなくていい
子どもが何かできると、
「天才!」
「めちゃくちゃ上手!」
「こんなの普通できないよ!」
と言いたくなることもあります。
もちろん、家族で大喜びする瞬間まで否定する必要はありません。
ただ、大げさに褒めるほど良いとも限らないことは知っておきたいところです。
Brummelmanらの実験では、「信じられないくらい素晴らしい!」のような誇張された賞賛が、特に自己評価の低い子どもでは、その後の難しい課題への挑戦を避ける方向に働く可能性が示されました。
別の研究でも、人物そのものへの賞賛は、特に自己評価の低い子どもで、失敗後の恥の感じやすさと関連する結果が報告されています。
だから、
「天才!」と評価するより、実際に見えたことを言葉にする。
「最後までやったね」
「ここの色、自分で考えたんだね」
「昨日よりスムーズになったね」
それくらいでも十分です。
⑥ 「頑張ったね」を自動的に言わない
ここも意外と大切です。
「結果ではなく努力を褒めればいい」
と考えると、今度は何でも、
「頑張ったね!」
になってしまいます。
でも、その子が本当に頑張ったのか。
工夫したのか。
楽しんでやったのか。
簡単にできたのか。
そこは違います。
褒め方に関する研究レビューでも、賞賛の効果は一律ではなく、伝え方や状況、子どもがどう受け取るかなどによって変わると整理されています。
だからこそ、
褒め言葉を選ぶ前に、その子を見る。
「頑張ったね」ではなく、
「今日は自分から始めたね」
かもしれない。
「楽しそうに作ってたね」
かもしれない。
「途中でやり方変えてたね」
かもしれない。
見えたものを、そのまま返す。
それも立派な「認める」だと思います。
⑦ 「褒める」から「認める」へ
私は、「褒める」と「認める」には少し違いがあると思っています。
褒める
「100点!すごい!」
「全部正解したね!」
「今日は早く終わったね!」
結果が見えれば、比較的すぐに言えます。
認める
「苦手だったここ、できるようになったね」
「毎朝起きてから続けてたもんね」
「前はここで止まってたけど、今日は自分で進めたね」
これは、その子を見ていないとなかなか言えません。
何が苦手だったのか。
どんなことを頑張っていたのか。
どこまでなら今のその子にとって挑戦なのか。
それを知ったうえで、変化や努力を言葉にする。
私は、
褒めることは結果を見ればできる。 認めることは、その子を見ていないとできない。
という違いがあると思っています。
だからKOTOMEBUでは、「たくさん褒めましょう」だけではなく、
その子をよく見て、認める。
という関わりを大切にしたいと考えています。
今日から使える「すごいね!」の次の一言
難しく考える必要はありません。
| こんな時 | こんな一言をプラス |
| 100点だった | 「苦手なところもできたね!」 |
| 早く終わった | 「すごく集中してたね!」 |
| 絵が完成した | 「ここの色、自分で考えたんだね!」 |
| 練習が成功した | 「毎日頑張ったからだね!」 |
| 失敗してしまった | 「ここまでできたね!どうだった?」 |
| 難しいことができた | 「やり方を変えて試してたね」 |
全部をこんなふうに言う必要はありません。
普通に、
「やったー!すごい!」
で一緒に喜ぶ日もあっていい。
その中で、ときどき、
「そういえば、昨日も練習してたもんね」
と一言足してみる。
それくらいから始めれば十分だと思います。
まとめ|「すごいね!」の、その先へ
「すごいね!」
「やったね!」
「できたね!」
私は、こうした言葉をやめる必要はまったくないと思っています。
子どもが嬉しいときには、一緒に喜びたい。
ただ、そこで終わらず、
何を頑張ったのか。
どこが以前と変わったのか。
どんな工夫をしたのか。
そこまで言葉にできたら、もっといい。
研究でも、努力や戦略などのプロセスに向けた賞賛と、その後の能力観や挑戦への姿勢との関連が報告されています。
だから、
「すごいね!」を減らすのではなく、
「ちゃんと見てたよ」が伝わる言葉を増やす。
それが、家庭でできる「認める」の第一歩なのだと思います。

参考資料
- Mueller, C. M., & Dweck, C. S. (1998). “Praise for intelligence can undermine children’s motivation and performance.” Journal of Personality and Social Psychology, 75(1), 33–52.
知能への賞賛と努力への賞賛が、その後の動機づけや失敗への反応などにどう関係するかを検討した研究です。 - Gunderson, E. A., Gripshover, S. J., Romero, C., Dweck, C. S., Goldin-Meadow, S., & Levine, S. C. (2013). “Parent praise to 1- to 3-year-olds predicts children’s motivational frameworks 5 years later.” Child Development, 84(5), 1526–1541.
1〜3歳時の家庭での自然な親子交流を観察し、プロセスへの賞賛と、その後の子どもの能力観・挑戦への姿勢などとの関連を追跡した研究です。 - Brummelman, E., Thomaes, S., Orobio de Castro, B., Overbeek, G., & Bushman, B. J. (2014). “That’s Not Just Beautiful—That’s Incredibly Beautiful!: The Adverse Impact of Inflated Praise on Children With Low Self-Esteem.” Psychological Science, 25(3), 728–735.
誇張した賞賛と、子どもの挑戦行動との関係を検討した研究です。 - Henderlong, J., & Lepper, M. R. (2002). “The effects of praise on children’s intrinsic motivation: A review and synthesis.” Psychological Bulletin, 128(5), 774–795.
子どもへの賞賛と内発的動機づけに関する先行研究を整理したレビューです。賞賛の効果を「褒めれば褒めるほど良い」と単純化できないことを考える際に参照しました。
※これらの研究から「特定の声かけをすれば自己肯定感が必ず高まる」と結論づけることはできません。本記事では、主に動機づけ、能力観、挑戦への姿勢などに関する研究知見と、教育現場で子ども・保護者に関わってきた経験をもとに、家庭で実践しやすい形に整理しています。

